長期間放置された結果、荒廃した森林では台風等の自然現象に対する抗体力が低下し、深刻な自然災害を引き起こすトリガーとなります。

間引きされない林では木々は光を求めて、競争を始め細く長く育つ様になり、しっかりとした根を張る事が出来なくなります。一方、この競争に敗れた木は、立ち枯れてしまい風等で倒れていきます。

地表に光さえ届かなくなると、下草や低層木が定着せず保水力の無くなった地表の上を雨水が流れ、道路や河川に土砂や枯れ木が流れ込み、更に地表をえぐってしまいます。

この悪循環が土砂崩落等の自然災害を引き起こす事となります。更に、枯れ木等は河川を防ぎ二次災害を引き起こす可能性があります。

人による森林整備が望まれていますが、一部の森林を整備しても余り意味がありません。その為、森林を面的に取りまとめて、大きな1つの森林として整備を行っていくスタイルが今後は重要になってきます。

一体的な整備を行う事で、様々な効果が期待されます。更に、森林が持つ公益的機能も考慮して、森林の区域分け( ゾーニング )を行い、木材生産以外にも注目する必要が求められています。

そして、木材搬出の為の森林作業道といった路網も地形に無理のない線形で構築する事が可能となり、折り返し( スイッチバック )を減らす事で、無駄な掘削を避けて地山に負担がかからなくなります。

神奈川県の山林では、筆が細かく分かれており、非常に多数の所有者さんが存在しています。森林を面的にとりまとめる、すなわち多くの山林所有者さんの同意を頂かなければ成立出来ません。この問題を解決する為には、地元の精通者等の地域との連携が求められます。